六十余州 武家屋敷紀行

~隔月で第3土曜日に更新~

vol.79 【肥前国 佐賀藩】家中屋敷と御殿

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【関連サイト】

https://saga-museum.jp/sagajou/
https://saga-otakara.jp/search/detail.php?id=5153
https://saga-otakara.jp/search/detail.php?id=5362
https://www.city.saga.lg.jp/main/3884.html

 

 前回に続き、コロナ禍直前の佐賀紀行。鍋島家中の武家屋敷は、大隈重信旧宅のほか、いくつか門構えが残っていますが、長屋門の遺構は鍋島監物邸のみ。この鍋島邸長屋門がなかなか見応えがあります。慶応3年(1867)の分限帳(『肥前鍋島家分限帳』所収)によれば物成1,700石。四公六民の知行高に換算して4,250石という大身だけあり貫禄十分。黒壁の長屋門というのも、物珍しさを感じました。この鍋島家の詳細は分かりませんが、分限帳では冒頭の「御三家・御親類・御同格・御家老・着座迄」という括りに記載されています。

 藩で最大の武家屋敷といえば、殿様の御殿。平成16年(2004)に本丸御殿を復元した佐賀城本丸歴史館にも立ち寄りました。歴史博物館としての展示物や、照明などには現代的な要素も加わっていますが、建物の規模、部屋の広さに当時の雰囲気を十分実感することができます。復元箇所は政庁にあたる部分ですが、藩主の居所である御座間は現存して歴史館に併設されています。全国で天守や櫓の復元は数多いですが、御殿の復元は佐賀城が先駆けではないでしょうか。金沢城福岡城でも御殿復元に向けた動きがあるようで、ぜひ佐賀に続いてほしいものです。

(2020年1月訪問)

 

f:id:kan-emon1575:20200110154310j:plain鍋島監物邸長屋門佐賀市重要文化財)。右手は駕籠部屋、左手は二階建ての番所

 

f:id:kan-emon1575:20200110152535j:plain嬉野邸の門構え(佐賀市重要文化財)。保存修理が行われ随分綺麗です。説明板では禄高を175石余としていますが、分限帳を見るに物成高。知行高に換算すると400石クラスになります。正門としての長屋門が別にあって、屋敷地は三十間四方と広かったようです。

 

f:id:kan-emon1575:20200110153449j:plain佐賀地方検察庁官舎に残る武家屋敷門(佐賀市重要文化財)。居住者など詳細は不明。

 

f:id:kan-emon1575:20200110150807j:plain歯科医院の入口になっている水町邸屋敷門(佐賀市重要文化財)。説明板によると水町家は家老。分限帳で知行取の水町姓は2家あり、それぞれ物成で235石と50石、知行高換算で587石と125石。いずれかの家でしょうか。

 

f:id:kan-emon1575:20200110133042j:plain佐賀城本丸御殿の表玄関。右手に鯱の門(国指定重要文化財)。

 

f:id:kan-emon1575:20200110133641j:plain御殿の北廊下。廊下も畳敷きとは、さすが大名御殿。それにしても長い廊下です。

 

f:id:kan-emon1575:20200110135055j:plain現存する御殿の御座間(佐賀市重要文化財)。改修で手が加えられ、真新しい感じです。隣に座って記念写真をと、鍋島直正公のパネルが置かれていますが、ちょっとイマイチ。