六十余州 武家屋敷紀行

~隔月で第3土曜日に更新~

vol.82 【武蔵国】八王子千人同心組頭屋敷

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【居住者】塩野家(八王子千人同心組頭/30俵1人扶持)

【所在地】東京都小金井市桜町3-7-1(江戸東京たてもの園

【関連サイト】https://www.tatemonoen.jp/

 

 3回目の緊急事態宣言が延長となるも、博物館は再開OK。ブログのネタ探しも、まだ他県への移動は遠慮するとして、休園していた江戸東京たてもの園が再開したので、同園にある武家屋敷を訪ねてみることにしました。

 八王子千人同心組頭の屋敷。園内の農家建築と見映えは同じような感じがしますが、歴とした徳川家臣団の武家屋敷です。甲斐武田氏の同心衆に起源を持つ八王子千人同心は、日光勤番などの番方を担っていた組織で、槍奉行支配の千人頭10人(200~500石)のもと、組頭100人、平同心800人、持添抱同心(後に廃止)100人で構成されていますが、平同心は農家の兼業が多く、身分も同心株として売買されていたようです。

 屋敷の主である塩野家は、30俵1人扶持の組頭。幕臣としては御家人クラスで、建物も質素でこじんまりとした規模ですが、塩野適斎という著名な文化人もおり、地元の名士たる家であったのではないかと思います。昨年夏以来の久しぶりの武家屋敷。園内のその他の建築群も見応えがあり、気分もリフレッシュできました。

(2021年6月訪問)

  

f:id:kan-emon1575:20210606135242j:plain建物全景。江戸時代後期の建築。

 

f:id:kan-emon1575:20210606135319j:plain建物の図面。元は八王子市追分町にあったそうです。

 

f:id:kan-emon1575:20210606133947j:plain士分の格式を示す式台付きの玄関。

 

f:id:kan-emon1575:20210606134053j:plain玄関脇にある物見格子窓の横に開き戸。武家屋敷らしく番所みたいなものかと思ったら、何と風呂場でした。

 

f:id:kan-emon1575:20210606132900j:plain風呂場の横から屋内に入ると土間。板敷の居間、畳敷きの座敷が続きます。

 

f:id:kan-emon1575:20210606132938j:plain8畳の座敷。右手に板戸を挟んで4畳の部屋があります。 

 

f:id:kan-emon1575:20210606133020j:plain便所も旧状通りに。

 

f:id:kan-emon1575:20210606134147j:plain建物の裏手。便所の取り出し口(手前)、台所の排水管(奥)など細かいところも、よく残されています。