【池田邸】
居住者:池田丹後守(生坂藩主/1万5千石)
【伊木邸】
所在地:東京都世田谷区岡本1-3(移築)
http://www.city.setagaya.lg.jp/kurashi/106/152/d00129076.html
岡山城下にあった2つの武家屋敷長屋門。1つは岡山市内の林原美術館に、もう1つは遠く離れた東京に残されています。前者は岡山藩の支藩である生坂藩主の池田家、後者は岡山藩筆頭家老の伊木家。いずれも貫禄のある門構えです。
生坂藩祖の池田輝録は岡山藩主池田家に生まれ、陽明学者として有名な家臣熊沢蕃山の養子となりますが、実兄が藩主となると1万5千石の分知を受け、池田姓に復して支藩を成立させます。知行は岡山藩の内高で、藩主は代々岡山城下に居住しており、大名諸侯に列しながら独立した藩という感じではなかったようです。
伊木家の下屋敷で使われていた長屋門は、閑静な住宅街にあるマンション敷地内に移築されています。藩士の立場でありながら知行高はなんと3万石。さすがは大藩の筆頭家老です。幕末の当主伊木長門は藩論を尊王に統一し、長州征討の中止を働きかけるなど外交でも手腕を発揮。茶人としても有名だったようです。
たまたま同じようなアングルで撮影した写真を後で並べてみて気付いたのですが、2つの長屋門は瓜二つ。一方は主家筋で大名、一方は家来筋で無官の陪臣ながら知行高は倍。双方のプライドとして、ちょうどバランスが取れているというところでしょうか。
林原美術館の正門として使われている生坂池田家屋敷門。伊木家長屋門とそっくりです。(以上、2015年10月撮影)
18世紀末頃の建築と推定される伊木家長屋門(世田谷区指定有形文化財)。マンション来訪者用の駐車場となっており、景観的にはやや残念です。(2016年3月撮影)