六十余州 武家屋敷紀行

~隔月で第3土曜日に更新~

vol.72 【備中国 足守藩】木下邸

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【木下利玄生家】岡山県岡山市北区足守801
【近水園】同足守803
  https://www.city.okayama.jp/museum/omizuen/

 

 前回の続き。少し歩くと木下利玄の生家。説明板によれば足守陣屋の一部で、嘉永5年(1852)に増築された奥向きの建物だそうです。白樺派歌人として知られる利玄は、最後の足守藩木下利恭の弟利永の次男。明治19年(1886)に旧藩主一族として、このかつての御殿に生まれ、後に木下子爵家を継いでいます。小藩の陣屋とあって派手さはありませんが、殿様の家族が暮らした時代の雰囲気をよく伝えています。

 すぐ近くには木下家の庭園である近水園(おみずえん)。吟風閣という望楼建築も残る風雅な大名庭園です。ここでもスタッフの方が丁寧に説明してくださり、いろいろ興味深いお話も伺えました。東京の都立中央図書館のそばに、足守藩江戸屋敷にちなんだ木下坂があることも教えていただきました。先日行ってみたら、たしかに標柱が建っています。よく行くのに今まで気付きませんでしたが、足守により親近感がわいたような、そんな気分にもなりました。

(2019年5月訪問) 

 

f:id:kan-emon1575:20190505161028j:plain木下利玄生家の長屋門。明治末期に旧藩士禰屋家から移築され、木下家の家伝史料を保管していたそうです。

 

f:id:kan-emon1575:20190505161837j:plain木下利玄の生まれた足守陣屋の御殿。岡山市史跡に指定されています。

 

f:id:kan-emon1575:20190505161504j:plain残念ながら中には入れませんが、大名屋敷とあって天井は高く、部屋数も多そうです。

 

f:id:kan-emon1575:20190505162159j:plain近水園の吟風閣玄関部分。

 

f:id:kan-emon1575:20190505162451j:plain吟風閣から庭園を望む。岡山県の指定名勝。紅葉シーズンもよさそうです。