六十余州 武家屋敷紀行

~隔月で第3土曜日に更新~

vol.70 【讃岐国 多度津藩】林求馬邸

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【居住者】林求馬(家老/350俵)
【所在地】香川県仲多度郡多度津町大字奥白方698
文化財指定】多度津町指定有形文化財
【関連サイト】https://www.town.tadotsu.kagawa.jp/soshikikarasagasu/kyoikuiinkaijimukyokusyougaigakusyuka/shakaikyoiku/2/849.html

 

 10連休となった今年のGWは多度津と足守へ。令和最初の武家屋敷紀行になります。東京からサンライズ瀬戸に乗って、まずは多度津丸亀藩支藩多度津藩、京極家1万石の陣屋町です。多度津は以前にも来たことがあり、ブログでも紹介しましたが(vol.38)、今回の目的は町の中心部からだいぶ離れた武家屋敷。前回、多度津駅にあった観光パンフレットでその存在を知り(時間の都合で行けず)、興味を持っていたのですが、ようやくお目にかかることができました。 

 多度津駅隣りの海岸寺という無人駅から山間部へ歩いて30分。万が一、外国艦の砲撃があった場合、海岸に近い陣屋から藩主を避難させるために、慶応3年(1867)に建てられたという家老の別邸。小藩の家老とはいえ、重厚な玄関の構えは威厳があり、なかなか立派。鳥をデザインした装飾など、細部にもこだわりを感じます。屋敷のあるじ林求馬の先代にあたる林良斎は、大塩平八郎門下の陽明学者。敷地内には良斎の私塾である弘濱書院が復元されていました。

 スタッフの方が丁寧に説明してくださり、見応えも十分なものでした。帰り道、クラクションに振り返ると、案内していただいたスタッフの方。他のスタッフの方と交代してお帰りになるところだったそうで、多度津駅まで乗せていってくれました。地元の方のご親切もあって、多度津再訪は実りのあるものに。多度津では今年3月、家老屋敷をリノベーションした結婚式場がオープンしていたそうです(「家中舎」)。武士の時代の結婚式、疑似体験してみたいものです。

(2019年5月訪問)

 

f:id:kan-emon1575:20190505103453j:plain表門。海鼠壁の塀の先にある蔵は資料館になっていて、林家が収集した美術品などが展示されています。

 

f:id:kan-emon1575:20190505103614j:plain大玄関。式台の先には見事な孔雀の屏風。屋根の破風上部には鳥の彫刻。

 

f:id:kan-emon1575:20190505114746j:plain大玄関横の内玄関(中央奥)。扉のある右手の建物は「頼所」で、中は板の間。門番が控えていたそうで、扉には覗き窓もあります。

  

f:id:kan-emon1575:20190505112500j:plain大玄関の奥にある十四畳の広間。

 

f:id:kan-emon1575:20190505112346j:plain広間右手の座敷。藩主を迎える御成の間だそうです。鳥などをあしらった欄間も立派ですが、その下に見える金具も鳥。凝っています。

 

f:id:kan-emon1575:20190505114916j:plain大玄関左手の茶室と浴室(左端)。

 

f:id:kan-emon1575:20190505112803j:plain六畳の茶室。

 

f:id:kan-emon1575:20190505113032j:plain浴室(左手)。畳敷きの脱衣所には床の間もあります。

 

f:id:kan-emon1575:20190505120058j:plain弘濱書院に保管されている駕籠。