六十余州 武家屋敷紀行

~毎月第3土曜日更新~

vol.18 【近江国 彦根藩】井伊邸(埋木舎)

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【居住者】井伊鉄三郎(彦根藩部屋住/300俵)

【所在地】滋賀県彦根市尾末町1-11

文化財指定】国指定特別史跡

【関連サイト】http://www.hikoneshi.com/jp/sightseeing/articles/umoreginoya

 

 一見すると中士クラスの武家屋敷ですが、かの大老井伊直弼(当時鉄三郎)が部屋住時代を過ごした屋敷。自嘲気味に「埋木舎」と名付けたこの屋敷での生活は、わずか300俵の捨扶持のみ。大大名の家に生まれても、跡取りでなければ暮らしは質素なものです。埋木舎は当時「尾末町屋敷」と呼ばれ、彦根城下にはこのような「庶子屋敷」がいくつかあったようです。

 13人も兄がいた鉄三郎に藩主就任というサプライズがなければ、日本人の誰もが知っている大老井伊直弼が誕生することはなく、まさに歴史に埋もれた人物だったはず。32歳まで養子の口もないまま、この埋木舎で悶々と過ごした日々は、彼の下積み時代と言えます。遅咲きでも人生を花開かせた直弼にあやかりたいものです。

(2014年5月訪問)

 

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 屋根は北陸地方などでよく見かけるアズマダチ。玄関も式台部分が建物の中にありますが、彦根の武家屋敷も雪国仕様ということなのでしょうか。宝暦9年(1759)の銘のある瓦から、同時期の建築と見られています。

 

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 吹抜け天井の下、玄関には所せましと様々な展示品。屋敷を下賜された大久保小膳(直弼の側役)の御子孫の所有となっており、中には入れません。

 

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母屋内は外からの見学のみ可。座敷にもいろいろなものが陳列されていますが、直弼が暮らした当時の姿のままで見てみたい気もします。