【居住者】黒澤伊兵衛(大番頭/500石)
【関連サイト】
https://www.city.akita.lg.jp/kanko/kanrenshisetsu/1002685/1009869/index.html
黒澤家は佐竹氏の秋田入部以来の家臣で、秋田藩では要職も務めています。長屋門は大きな物見窓を備え重厚な感じがしますが、母屋も含めて漆喰の白と下見板の黒のコントラストが印象的です。大きな公園の丘陵地に移築されており、静かで周囲に景観を損ねるものもないので、タイムスリップしたような感覚に浸れます。秋田市立佐竹史料館が建物を管理していますが、同史料館には黒澤家の甲冑等が展示されていて、受付では当主が書き残した『黒澤家日記』 も販売されていました。
『黒澤家日記』 には、藩の町役へ家族構成を報告した旨の記述があって(文政12年(1829))、「上下拾八人」、うち当主家族(上)5人、奉公人(下)13人が邸内に暮らしていたことがわかります。ちなみにその翌日には、「(報告した)町役へ酒呑ませ申し候」とあって、餅菓子(根花餅・小豆砂糖)、めし、汁(水ふき・かつふし)、平(小あら・竹の子・むきたけ)、香の物と、自宅で振る舞った料理の献立も記録されていました。四ツ半時とあるので、少し早いランチタイムでしょうか。遠い昔のサラリーマン家庭の日常が浮かびあがってくるようです。
(2012年11月訪問)
長屋門形式の表門。主屋とも18世紀前半の建築。
雪国らしい造りの表玄関を入ると3畳間。左手には来客用のお手洗い(写真の左端)。
書院造の座敷棟。
台所棟。浴室などもあります。